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構造改革に本格的にメスを入れる起爆剤

(中央官庁A省)

構造改革ってどうやるんだ!?

 小泉純一郎首相。いわずとしれた構造改革の申し子である。「構造改革なくして景気回復なし」のスローガンよろしく、聖域なき構造改革にのぞむ。「廃止」か「民営化か?」。平たく言うと、今まで親方日の丸で良かった人たちが、明日からは自分で自分の食い扶持を何とかしなければならないわけで、まさに必死(?)である。A省の場合、現業部門を抱えている事から特に改革は難航すると思われた。勿論組合の問題もある。さて果たしてどのように改革したらいいのか?その前に何から始めたらいいのか?彼等もほとほと考えあぐねたのであろう。思いあまって改革請負人のドアを叩いたのであった。

「20万人の巨大組織の改革なんです。」

  「はて?どのような御相談ですか?」というとすかさず、「何をしていいかわからないんです。」自分の耳を疑った。目の前にいるのは大の大人である。その人間が「何をしていいかわからない」とはないだろう。しかし、先方には先方の事情もあるだろう。話を続けて聞いてみた。「さて、どういったことでしょうか?」
 聞けば組織の規模が20万人。自分で自分の会社を改革するのでも大変だが、もっとやっかいなのは「右を向いている人間に左を向かせなければならず、しかもその数20万人。」巨大組織の改革にどこから手をつけるべきか分からなかったのである。「どうしたらいいのでしょうか?」これは改革の中でも最も難易度の高い「チェンジ・マネージメント」つまり改革を管理するというものである。つまり改革のコアメンバーを選定し、改革のプロとして教育し、お互いに競わせ、うねりを広げる。そして退行する事のないように取組みを明文化し、さらに遅れた所を引き上げるために、水平展開を行うのである。こうした一連の動きをしない限り、巨大組織の改革は進まない。つまり改革そのものを管理するという発想である。

山は動いた〜改革へのキックオフ〜

 「解りましたか?」そこまでいうと彼等の表情は一変していた。「はい、それでは早速進めたいと思います」。その後の動きは早かった。
 まず手始めに全国の幹部に昇格したばかりの若手キーマンを抜擢し、「改革勉強会」を初めて開催した。改革のコアメンバーつくりである。メンバー間で改革課題を列挙し検討。会議は3日間続いた。なにしろ始めてやる事なので戸惑いが続いた。今まで上から与えられたことを下はただこなすだけという受け身の組織風土が強く自ら主体的に改革に取り組むことがなかったため意見を求めてもなかなか出てこない。この縦割の官僚体質こそ効率的な組織運営を阻む最大のゴースト(お化け)であった。

あなたたちが現場を変えるキーマンなのです

 3日間の「改革勉強会」もいよいよ終了が近付いた。プログラムのラストを飾るのは、「改革請負人の実践的改革手法」の講演会である。会場には今か遅しと紅潮した顔が集まった。3日間の改革討議を整理する意味でも重要な講演である。改革に取り組むための基本的な考え方とステップ、そして成功のポイントを分かりやすい具体的な実践事例をふんだんに交えて話す。どの顔も真剣そのものだ。後には引けない自分達の組織の状況を痛感しているといった感じがする。「あなた達一人一人が改革の成功の鍵を握っているんです。現場を変えるキーマンとして」改革請負人の講演もいつもより力が入る。「改革を成功させる一番の秘訣はなんですか?」最後に鋭い質問が飛んできた。「他でもない。あなた自身が変わる事です。自分自身の心の中にこそ退治すべきゴーストがいるのです。」克己。出来そうで出来ない課題だ。

組織を変えるうねりをつくりだす

 「改革勉強会」メンバーが習得した知識と勇気を現場に持ち帰り、改革推進のコアメンバーとして本部の事務局と連携をとりながら、改革を推進。官僚組織という大きな化け物との大いなる格闘を始めた。成果はまだ知らされていない。しかし、大きな山もまず最初の一歩からである。いつか彼等の改革へのうねりが新しい未来の日本をつくり出す事を期待している。
 頑張れ!!

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