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2-1 先端的情報産業での企業研修

 昭和62年9月、秋の気配が漂い始めた米国の首都ワシントンD.C.に訪れた時のことを、今でも鮮明に覚えている。このワシントンの中心部からポトマック川を渡り、車で西に10分ほど行ったところに、私が4ヵ月間研修を行わせて頂いた、メタシステムズ・デザイン・グループという会社のオフィスがある。
 高等裁判所の近くに位置する、青いガラス張りのこのビルは、いかにも最先端の情報産業のオフィスにふさわしいものであった。ビルの前には、庭がありオフィスで働くビジネスマンが昼休みなどには、ここで休憩を取るのである。 おそらく日本では「メタシステムズ・デザイン・グループ」という名前よりも、「メタネット」という名前で親しまれているのではないかと思う。今までパソコン通信関係の雑誌や本などを読まれた方々には、このメタネットという名前を何度も目にした方も少なくないことだろう。
 社長のフランク・バーンズさん、そしてスタッフの一人、リサ・カ一ルソンさんはそれぞれ一度ずつ来日され、パソコン通信の関係のフォーラムで講演されたこともある。 この企業は、数あるアメリカのネットワークのなかでも、最も影響のあるユニークなネットの一つとして広く知られている。一言で紹介するならば。電子会議を用いて、世界中の頭脳をネットワークし、高い理想を現実社会の中で実践する集団、オンライン・シンクタンク(離れたところから互いにパソコン通信で研究活動を行う研究機関)というようにも表現できるであろう。 私のこの企業での研修は、「話には聞いているが、一体何がどう先進的であり、どのように実践しているのか自らの体で学んで来ようじゃないか」という強い問題意識あり、4ヵ月間研修生としてお世話になることになったのである。 このワシントンD.C.に拠点を置くメタシステムズ社が運営するのが、先に述べたメタネットであるが、ここでの活動たるや今振り返ると、何か「21世紀の未来社会ヘタイムスリップした」ような印象であった。本節では、皆さんにこの企業での活動の様子、パソコン通信の活用について私の研修を通じて見てきたものをご紹介し、今後のパソコン通信の活用の未来を考えるヒントになればと考える。

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