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2-11 メディア・ミックス(複合メディア)の活用

 メタシステムズ社では、毎月オンライン会報誌「ハイライト」を出している。これは、メタネットの上で交わされた会員同志の会議の中から、それこそ重要なものをピック・アップして、A4サイズ8ぺ一ジほどの雑誌を作っているわげである。
 パソコン通信があるのに、何故「紙媒体」つまり雑誌が必要になるのであろうか?それは無意味ではないのか?たしかにそういう疑問もよく分かる。しかし、思い出して頂きたいのは、この企業の目指しているものは、ネットワークづくりであって。この紙媒体がかえって非常に効果を発揮するのである。
 この雑誌「ハイライト」のねらいには、一つにパソコン通信が出来ない会員への宣伝、普及の意味がある。「メタネットの会員は全員パソコン通信が出来るのではないか?」と思われるかもしれないが、答えはノーである。実はメタネットの会員はパソコン通信が出来る出来ないを問わず、非常に大きな広がりを持っている。当然パソコン通信が出来るのは、その内のほんの一部だということになる。
 しかし、たとえパソコン通信が出来なくても、こうして雑誌になったものであれば、より多くの人たちに郵送で送付することが出来るため、お互いの意志疎通を図ることが可能になり、またこうした人たちもパソコン通信を始めようという気にさせる、啓蒙普及の役目もある。
 それでは既にパソコン通信を使っている会員にとっては、どうだろうか?これには二つの大きなポイントがある。一つは、大変積極的にネットワークを使っている会員にとっては、この雑誌で自分の発言が取り上げられるのは、大きな励みとなるということである。
 ちょうど新聞や雑誌などに出ると誇らしげな気持ちになるのと同じように、一つはネットワークの参加者の間で一つの優越感に浸れる、また自分の発言を評価してくれたんだなという確認にもなるから、また積極的になろうという気にもなる。
 また今度は、以前は使っていたんだが今は余り積極的に使っていないという会員にとっては、別の効果がある。毎月1回送ってくる雑誌なら簡単に目を通すだろう。そのことによって、以前には興味のないテーマが議題になっていても、最近は自分にとって興味深いテーマが話題となっているとなれば、再び積極的に使いだそうという人間もあらわれてくる、という効果も出てくる。
 そしてもう一つ、こうした別のメディアを組合せるということは、もっと別の「心理的効果もある」。
 いままでの話でお気付きのように、パソコン通信はそれを積極的に使っている人間にとっては、お互いが双方向で自由にそして気軽に会話できる便利な道具であるが、しかしそれを使っていない人間にとっては、その中で一体どういう会話がなされているか、全く分からない。この意味で、パソコン通信とは会員が主体的に利用しているとき、積極的に使用しようとしているときは、大きな道具にはなるが、消極的な場合は一体何が何だかわけが分からないということになってしまう。
 その意味で一種の「地下組織的なクラブ」の要素が多分にある。しかし、雑誌やテレビ、ラジオの場合。情報は白日の許にさらさ
れ、より大きな広がりを持ってくる。受け身的、一方的なメディアではあっても、簡単に大量の情報が入手できるということで、別の要素を持ってくるわげである。
 メタシステムズ社では、毎月一回会員を集めてパーティーを行っているが、これなどは大変エキサイティングなものである。実際に顔を合わせるからその人間の人柄、年齢、風貌などじかにせまって来るものであり、次回からパソコン通信で会話をする際に、相手の名前を見ただげで、その人の顔や話し方を想像しながら、その発言を読むことが出来るようになってきて、平坦な文章が何か「3次元的な広がり、深さ」をもって読むことが出来るようにもなる。
 そしてパソコン通信で、再び議論が進み、さらにお互いの相互理解が進めば、また会いたくなってくる。あるいは電話もしたくなる、という具合である。
 このようにパソコン通信を、それ自体単独で考えるのではなく、他の通信手段との複合で考えると、双方に相乗効果が生まれ、より密度の濃いコミュニケーションが生まれるということになろう。

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