トップ / 改革理論 / 変革期におけるトップマネジメントの本質


第2節 研究内容

 先にも述べたように、本研究はIE(Industrial Engineerin)の基本的アプローチの方法である、システムズ・アプローチという方法論を用いている。この方法論の特徴は、@学際的方法論A実用的方法論B実証的方法論C客観的方法論などがあげられよう。
 本研究は上記のような方法を用いて、数量的意思決定モデルを求めようというものである。つまり、資本力や販売力などの企業の内部条件、景気変動・技術革新の速さなどの外部環境、あるいは企業規模や業種などの企業特性といった企業内外の環境状態が、それぞれどうあるかによって、経営者が例えぱどの程度企業規模の拡大を図っているのか、またどの程度品質に重点をおいて製品開発を行っているかなど、トップの対応を数量的に把握しようというものである。
 また本研究は、"企業を取り巻く外部の環境が激しく変化しているもとでは、環境に対して適応していかなけれぱ、企業の存読は有り得ない、"というローレンス・ローシュが名付けた、環境適応理諭(コンティンジェンシー理論)を背景としている。
 また本研究の基本的な概念は以下のようである。(図1参照)すなわちまずトップは外部環境・企業の内部条件・企業特性などにたいしての判断をおこなう。そして、これら企業内外の現状ならぴに予測にたいする判断にもとづき、計画・統制・組織化といったトップのアクションの方向性が決せられるわけである。そして最終的に、この判断―アクションの良否が企業の業績となって現れるわけである。
 つぎに本研究の特徴は、以下の点である。まず第一に、従来複雑にして多様なため定量的にとらえられなかったトップ・マネジメント全体を4次元の"トップのアクション"として数量的にとらえたという点。第二に企業の内部条件、外部環境をともに並立してモデルに組み込んだ点。第三に、企業の規模、業種などの"企業の特性"も要因としてもりこんだ点。そして第四に、おこなわれた意思決定が効果的なものだったか否かを評価をすべく、高収益企業・低収益企業ごとに意思決定モデルをつくり、その対比を試みることによって、企業の業績をも考慮にいれたこと、などである。


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